カテゴリ:K's Room
社会科の授業づくりとネタの教材化

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 ちょっと前までは「社会科の大家」と呼ばれる教員がいたのですが、最近はめっきりお目にかからなくなりました。「学力向上」が叫ばれてから、算数を研究する学校がとても多くなりましたが、それに反比例するかのように全体的に社会科の授業の質が落ちているように感じます。調べ学習と称して子供たちに丸投げしている授業も見られます。特に若い先生方にこうしたことがあてはまる傾向にあり、「社会科の授業づくりについて、改めて教えてあげることが大切だな。」と感じています。

 昨日の5校時に6年社会科「わたしたちの暮らしを支える政治」の研究授業があり、町教委のN指導主事をお招きして研究協議を行いました。湯本小と仙小の6年担任の先生方も参加してくださいました。授業は単元の第一時という、社会科の命ともいえる導入部分です。
 この学習は、箱根町が町民の生活をよりよくしていくために進めている様々な取組について追究し、自分たちも町民の一人として政治への参画意識を高めていく学習です。そのため、単元の終末では「箱根町に対する要望をまとめ、請願書を作成する」という計画が立てられていました。単元を通して、子供たちの政治への関心をいかに高めていかれるかがポイントであり、導入である本時では特に「どのように箱根町の政治への問題意識を持たせるか」が重要です。そして、その手立てとして子供たちに提示する資料がとても重要になります。

 今回、授業者である担任のKN先生は「観光費予算の歳出推移」のグラフを自作し、授業の初めに提示しました。子供たちは、令和2年度と3年度に観光費がかかっていることから、「台風19号やコロナの影響で観光客が減ったのでは」「町民は観光客が減って困っていた」「箱根町が何か対策を立ててお金を使ったのではないか」ということを考えていきました。
 KN先生がそこで用意していた事例が「箱エールクーポン」です。箱エールクーポンは町が全町民に配布したクーポン券で、新型コロナウイルス感染防止に取り組む町民の生活応援と地域の経済回復を目的としたものです。「子供たちが身近に感じることができる事例」ということで、先生が数ある事例から選び提示しました。子供たちは自分がクーポンを使って食事などをした経験を話し合いながら、「箱根町が町民の暮らしがよりよくなるために、様々な取組をしている」ということに気付いていきました。授業ではこの後、観光以外に「給食費が無償になったこと」や「さくら館プールの無料」なども町が町民の暮らしをよりよくしていくための取組ではないかと予想し、箱根町の取組について追究していく学習問題を設定していきました。

 この授業を通して、社会科では「いかに子供たちに身近であり、切実感が持てる素材(ネタ)を発掘し教材化していくかが大切」ということがよく分かりました。KN先生の教材研究の深さと苦労が、子供たちに響いた授業であったと思います。

※資料として提示した観光費の内訳については、N指導主事より「もう少し調べておくことが必要であった。」というご指摘を受けました。

公開日:2021年06月10日 08:00:00
更新日:2021年06月10日 12:39:42