カテゴリ:各学年の様子
「くじらぐも」の授業から

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 先週の木曜日に1年生国語「くじらぐも」の研究授業があり、県西教育事務所と町教育委員会の指導主事さんにご指導をいただきました。今年度最後の研究授業・研究協議となります。本校の先生方は研究熱心で、研究協議の様子や内容について毎回のようにお褒めの言葉をいただいています。今回の研究協議でもたくさんの課題と改善案が先生方から示され、とても学びのある研究会となりました。

 本時は、子供たちがくじらぐもに飛び乗ろうとする様子を想像する内容でした。授業者のK藤先生は、音読と「くじらぐもクイズ」で本文の叙述をしっかり確かめてから、「くじらぐもにとびのるところを、おもいうかべよう」というめあてを設定し、動作化を通して場面の様子や登場人物である子供たちの行動を読み取らせていこうと考えました。動作化をすることで、子供たちが表現する楽しさを味わいながら想像を広げていくことができます。本時の場面では、子供たちがくじらぐもに飛び乗ろうとするために、3回のジャンプを行っています。その違いを想像させるために、K藤先生はある工夫をしてみました。
 「1回目のジャンプは30cm、2回目のジャンプは50cm」、その違いを実感させようと、K藤先生は高さの違う台を用意し実際に子供たちに飛び乗らせることをさせてみたのです。しかし、ここで授業はあらぬ方向へとつき進んでしまいます。子供たちの意識が台に飛び乗ることにいってしまい、それを修正しようとK藤先生の口数もどんどん増えていきました。何人かの子供のテンションもかなり上がっていました。まさに子供たちは裏切り者です。「おいおい! なんかいつもの授業での様子と違うぞ」というK藤先生の心の叫びが私には聞こえました。

 研究協議では、「くじらぐもクイズ」で扱った「いきなり」「応援しました」などの言葉を大事にしながら動作化をさせるとよかったという意見や、台は使わずにペープサートのようなものを使えばよかったのではないかという意見が出されました。「細かい〇cmにまでこだわる必要はなかったのではないか」という意見もありました。私も「今回の動作化は、子供たちの実態に合った学習活動ではなかったのでは」という感想を持ちました。見ている方は何とでも言えます。
 しかし、研究授業の面白さは「やってみて初めて分かることがたくさんある」という点にあります。今回の授業はK藤の先生の指導案に対して、本校の国語部会で何度も検討しGOサインが出ているのです。回議されてきた指導案には、教務・教頭・校長が「OK」と印を押しています。それでも、授業は授業者の思い通りには進まないことが多いのです。さらに失礼を承知で言うと、授業者の思い通りに進む授業は、授業者の授業力がかなり高い場合を除いて、提案性のない授業であるか、もしくは数人の子供たちの意見発表だけで進む授業が多いのです。その意味では、今回のK藤先生の授業は、私たち教師の学びを考えた時にとても提案性のある授業であり、成果と課題がはっきり見える授業であったと思います。そして、この一年間、そのような提案性のある授業が続いたことは、本校の先生方の授業力の向上へと確実につながったと思っています。

 K藤先生の研究授業が終わり、これで森小の先生方の研究授業を参観する機会はなくなってしまいました。S家先生のエキスパート研修の授業がありますが、残念ながら出張にあたっています。もちろん、授業は学校ですから日常的にいつでも参観できるのですが、研究授業は授業者がそれまで取り組んできたものを全て出し切る集大成の授業であり、一時間のために何時間も何日も教材研究をし、他の先生方とも検討し指導案も作るという手のかかった授業なのです。それを見る機会がもうないというのは、とても残念です。先生方には、来年度ワンランクアップした授業を披露できるよう、日々授業力により磨きをかけてほしいと思います。

公開日:2022年11月25日 10:00:00
更新日:2022年11月29日 12:25:06