カテゴリ:K's Room
タイムカプセルの話

 年明けに突然20年前に担任した教え子から連絡がきました。真鶴町の学校にいたとき、3・4年と2年間担任したYさんという女性です。現在は新潟に住んでいて、今は一児の母となっているとのことでした。そして、「先生、2022年2月2日が近づいています。タイムカプセルを掘り出すんですよね?」と確認されました。4年生の総合で映画を作り、ラストシーンで埋めたタイムカプセルを今年の2月2日に掘り出す約束をしたはずだというのです。もちろん覚えていましたが、「これはまずいことになった」と、思いました。

 実は、私はこの学校を異動することになったとき、子供たちに内緒でタイムカプセルを掘り出し、自宅で保管しようと考えたのでした。カプセルを1m以上の深い穴に埋めることができなかったため、土の中の温度変化でタイムカプセル内が結露し、手紙や写真なども文字が消えるなどひどく劣化してしまう可能性が高いからです。当時の子供たちの約束が「20年後」だったので、劣化がそんなに進まないうちに掘り出しておこうと考えたのでした。
 しかし、その時、なぜか掘ってもタイムカプセルは出てこなかったのです。映画の映像も見直して、埋めた位置を再確認して掘っても見つかりませんでした。「きっと教え子の誰かがいたずらで掘り起こしちゃったのだろう」「20年も先のこと、30歳になって覚えているかな」、そんなことを考えながら、少しショックを受けて私は異動しました。ちなみにその数年後に担任した4年生のクラスでも大きなタイムカプセルを作ったのですが、その時は土に埋めずに私が家で保管することになったので、無事10年後の真鶴町の成人式で中身を教え子たちに手渡すことができました。

 20年なんて本当にあっという間に過ぎるものです。Yさんは、2月2日が迫っているのでみんなと連絡を取り合いたいとのことでしたが、残念ながら集まりはコロナのことがあり、しばらく実現しなそうです。肝心のタイムカプセルのことは事実を伝えれば残念がると思いますし、掘り返して出てこないのも何だか・・・。そういえば先週の金曜日、あるテレビドラマの第一話を見ていたら、同窓会でタイムカプセルを掘り出すシーンがありました。「これを見て思い出した」なんていう教え子もいたかもしれません。どうしようか悩み中です。

公開日:2022年01月20日 14:00:00
更新日:2022年01月21日 13:54:18