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若手を育てる~パート3

 先週新聞に気になる記事がありました。2019年度に実施した公立小学校の教員採用試験の倍率が、全国平均で2.7倍と過去最低だったという記事です。自治体ごと倍率は違い、高い自治体は高知県の7.1倍、低い自治体は佐賀県と長崎県で1.4倍だったそうです。また、全国の国立の教員養成大学・学部を卒業した人の教員就職率は57.6%で、神奈川県の横浜国大が最も低く43.0%であったとのことでした。かつて高い時には10倍以上あった採用試験の倍率がここまで下がったことについて、文科相は「教師の人材確保と質向上の両面から、教師の養成や採用などの制度について検討を進める必要がある。」と述べました。

 この記事に対して様々な識者がコメントをしていました。いろいろ読んでみたところ、意見は次の二つに集約できました。
・日本の教員の労働条件は過酷でブラックであり、教員が魅力ある職業ではなくなっている。働き方改革を進め、教員の負担を減らすべきである。
・低倍率により必要な教員の確保が懸念される。また、教員の質の低下が極めて深刻であり、教員の質を高める政策を優先すべきである。

 それらのコメントを読んで思ったことを書きます。
 まず働き方改革については、行政や学校が工夫を凝らし、ひと昔の学校とはまるで変わった職場になったと思います。例えば会議については、私が若い時いた学校では職員会議が終わるのが21時というようなことが何回もありました。今では「時間外」という意識が高まり、効率よく進めているのでそんなことはありません。県費や町費の支援スタッフも配置されるようになり、学級担任が一人で何もかも抱え込む時代でもなくなりました。今後も少しずつ変わっていくことでしょう。

 教員の質の低下についてはどうなのでしょうか。以前、県の教育センターで初任研を担当したことがありました。3年間でたくさんの初任者とかかわりましたが、確かにときどき「この先かなり頑張らないと厳しいだろうな。」という先生がいたことも事実です。しかし、そういう先生でも2年後の2年経験者の研修で会ったりすると、かなり成長されていることを感じました。配置される人材がどうであれ、現場は一人前の教員に育てるために一生懸命です。若い先生が増える中、校内での人材育成には力を入れています。
 本校でも全職員がかかわって若い先生を育てています。今年の初任の先生も一年でとても成長し、子供といつも一緒にいて子供の心に寄り添った学級経営をしています。学級便りの内容も充実してきました。「教員の質を高める政策」として、校内外での研修の充実は大事です。そして、それ以上に校内での教員同士の学び合いの大切さを本校での一年を振り返って強く感じます。初任者が日々成長していく姿を見て、本校の先生方には本当に感謝しています。初任者の先生からは、2月の終わりに一年間の成果報告が職員にあるようですので楽しみです。
 ということで、私は今のところありがたいことに、採用試験の倍率低下による「教員の質の低下が極めて深刻」というようなことはあまり感じていないというのが正直なところです。

公開日:2021年02月05日 13:00:00
更新日:2021年02月09日 18:04:43