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社会科の指導について

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 「どの教科の指導が好きですか。」と聞かれたら、私は迷わず「社会科」と答えます。しかし、ここ5~6年は国語や算数の指導についての相談はされても、社会科の指導について「困っている」「どうしたらよいか」という相談を在籍校の先生方から受けたことは、ほとんどありません。本当に困っていないのか、それとも相談できるほど深く教材研究に時間を費やすことができていないのか・・・、キャリアのまだ浅い先生の授業を見ていると、後者が多い気がしています。

 社会科では地域にある学習素材をいかに教材化するかが、(単元にもよりますが)とても大切です。子供たちが社会的な事象を身近に感じ「調べたい。」という思いが高まるだけでなく、子供たちの疑問を解決できるための資料(文献・施設・人など)がゴロゴロと転がっているからです。教師が地域を学び、素材を発見し、それらをどう教材化して一つの学習を成り立たせていくか(単元のねらいを達成させていくか)は、日ごろの深い教材研究が大切になってくるのです。箱根町の一貫教育では「地域学習の必須事項」が定められていますので、最低限の地域学習はできています。とはいえ「社会科の地域素材の宝庫」である箱根で社会科の単元開発をしないというのはもったいないことだなあと思います。

 さて、本日は4年社会「自然災害にそなえるまちづくり」の研究授業があり、担任のS先生が授業を行いました。一か月ほど前、めずらしくS先生から社会科についての相談がありました。そして、今回昨年の台風19号の被害を教材化していくという試みにチャレンジしてくれました。
 S先生は今年度小田原から異動してきたばかりなので、昨年の箱根の被害を詳しく知りません。だからこそ、自分で調べ、町役場の総務防災課に足を運び、資料の収集やインタビュー活動の打合せなど、熱心に教材研究を進めてきました。単元の計画を何度も修正し、ようやく今日の研究授業にたどり着いたのです。単元の導入では台風19号の被害を想起させて、「箱根町は災害についての意識を高めなければならない。」と、子供たちに学習に対する必要感・切実感を持たせることに成功しました。今日は「台風19号はそれでも人的被害が少なかった。」「それはなぜなのか。」という問いをもとにして、子供たちは「台風から人々の命を守るために、だれがどのようなことをしているのだろうか。」「それを調べてみたい。」という学習問題の設定につなげていきました。

 今日の授業では、子供たちの育ちと同時に、社会科の授業づくりの面白さに一歩踏み込むことができたS先生の成長を感じました。自分自身が教材研究を重ね、いろいろと社会的事象を見つめ考えることで、教師自身が「子供たちに何を伝えたいか。」が絞られてきます。この学習はこの後追究活動に入っていきます。単元の終末に作成するという新聞が今から楽しみです。

公開日:2020年10月22日 10:00:00
更新日:2020年10月22日 17:10:55